CFD関係のベンチマークをしたかったので,WindowsのWSL上のUbuntuにPhoronix Test SuiteをインストールしOpenFOAMのベンチマークを実行する方法を調べた。また,得られたスコアをUbuntuネイティブ環境と比較した。
検証環境
・OS:Windows11 pro 24H2
・CPU:Intel Core i5 13600K
・RAM: DDR5 32GB
・インストールするPhoronix Test Suiteバージョン:10.8.4
1. WSLの有効化とUbuntuのインストール
まず,WSLを有効化するために,コントロールパネルの”プログラムと機能”の”Windowsの機能の有効化または無効化”から,”Linux用Windowsサブシステム”と”仮想マシンプラットフォーム”にチェックを入れ,PCを再起動する。
次に,コマンドプロンプトを開き,
wsl update
を実行する。これにより,Ubuntuをインストールする環境が整う。
最後に,以下のコマンドでUbuntuをインストールする。
wsl --install -d Ubuntu-24.04
なお,wsl --list --onlineでインストール可能なディストリビューションが表示される。2026年2月現在は24.04が最新のLTSなので今回はこちらをインストールした。
インストールが終わるとユーザ名とログインパスワードを聞かれるので入力していく。
2. Phoronix Test Suite+OpenFOAMベンチマークのインストール
ここからはUbuntuでの作業となる。事前にapt updateとapt upgradeコマンドでパッケージを最新にしておく。
公式サイトによるとphpのコマンドライン環境があれば良いと書いてあったが,最終的には以下のパッケージが必要だった。ただ,Gemini AIに聞きながら調べたので,余計なものも入っているかもしれない。
1)PHP関係パッケージのインストール
以下のコマンドでPHP関係とZIPファイル関係のパッケージをインストールする。
sudo apt install -y php-cli php-xml php-curl php-gd php-sqlite3 php-zip unzip
2) 並列処理関係のパッケージのインストール
Open MPIなど並列処理関係をインストールする。最後のlibfftw3だけはフーリエ変換用パッケージで,もしかしたら不要かもしれない。
sudo apt install -y libscotch-dev libptscotch-dev libopenmpi-dev libboost-system-dev libboost-thread-dev libfftw3-dev
3) Phoronix Test Suite+OpenFOAMのインストール
まず,Phoronix Test Suiteパッケージを取得するため,debファイルをダウンロードしてインストールする。今回インストールするPhoronix Test Suiteバージョンは10.8.4だが,それ以外をインストールする場合は適宜debファイル名のバージョン部分を変更する。
・debファイルダウンロード
wget https://phoronix-test-suite.com/releases/repo/pts.debian/files/phoronix-test-suite_10.8.4_all.deb
・debファイルインストール
sudo dpkg -i phoronix-test-suite_10.8.4_all.deb
最後に,以下のコマンドで Phoronix Test Suite+OpenFOAMをインストールする。
phoronix-test-suite install openfoam
PCのスペックにもよるが,今回の環境ではインストールには20分以上かかった。
3. ベンチマークの実行
以下のコマンドでOpenFOAMのベンチマークを実行する。
phoronix-test-suite run openfoam
まず,実行するテストを選択する画面になる。1-5のいずれかを指定する。なお,コンマで区切ることで複数のテストを指定できる。ただし,”1,1”のように同じテストを連続して指定してもなぜか1回しか実行されない。
以上の入力が終わるとテストが実行される。
4. ベンチマーク結果
結果は以下のように表示される。
解説
・Test 1 of 1
テスト選択で指定した実行するテストの数。”1, 2”としていた場合は”Test 2 of 2”となる。
・Estimated Trial Run Count: 1
それぞれのテストの試行回数。デフォルトは1。変えるには別途設定ファイルをいじる必要がある。
・メッシュ作成時間
このテストのスコアは各処理の実行時間そのもので,この項目は解析用メッシュ作成時間となる。この画像では36.88秒で終わっている。また,データベースのスコアとの比較も表示される。
・解析実行時間
解析の実行時間。この画像では249秒で終わった。
5. ネイティブUbuntu環境との比較
WindowsのWSL上のUbuntu環境とUbuntuのネイティブ環境とでスコアに違いがあるかを調べた。また,USB環境での使用も考慮し,USB3.2接続のSSDにインストールしたUbuntuについても比較した。
テストはdrivaerFastback, Small Mesh Sizeを使用し,3回の平均値を最終結果とした。
以下が結果で,WSL上での実行時間はネイティブ環境より遅くなり,メッシュ作成時間で16パーセント,解析時間で13パーセント増加した。仮想環境での何らかのボトルネックが原因と思われる。





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