B760マザーでK付CPUを低電圧化しようとして苦労した話.
現在のメインPCのマザーボードはTUF GAMING Z690だが,最近のZ系マザーはやたら高いため次はB系か低グレードのZ系にしようと考えた.そこで調査がてらTUF GAMING B760をメインに使うことにした.
誤算だったのはBIOSのデフォルト設定では消費電力が大きすぎること.自分は空冷クーラーで運用できるように全コア負荷時のCPUパッケージ電力を150~165Wになるように調整しており,i5 13600KとZ690の組み合わせではLLCを少し下げるだけで事足りた.だがB760ではLLCを最小の1にしても190Wまでしか下がらない.メモリをDDR4からDDR5に変えたのも影響しているのかもしれない.
このため,PLかCPU電圧を調整して消費電力を低くしようと思い,B系でもK付CPUなら低電圧化できるという情報があったので,まずは性能が低下しにくい電圧調整を行うことにした.
電圧調整は,Z690ならCPU Core/Cache VoltageをAdaptiveモード+マイナスオフセットで設定すれば良かった.だがB670にはその項目がない.それらしいものにGlobal Core SVID VoltageとChache SVID Voltageがあったが,オフセット設定がなく固定値しか入力できない.しかも低い電圧を設定しても消費電力は変わらず,設定が反映されないように見える.ほかにActual VRM Core Voltageという項目もあり,こちらはオフセットできたのでマイナスオフセットをかけた.そうすると電力は確かに低くなるのだがベンチマークスコアも低くなってしまう.どうもIA CEPという安定化機能が原因らしい.Disableにしてみるが,依然スコアは低い.
最終的にRedditの投稿にあった以下の方法で性能を保ったまま消費電力を下げることができた.
1. BIOSのAi Tweaker/Teaker's ParadiseにあるSwitch Microcodeの設定をCurrent Microcodeから0x104 Microcodeに変更する.
2. Global Core SVID VoltageとCache SVID Voltageの項目にオフセットの選択肢が追加されるので,マイナスオフセットで任意の電圧を設定する.どちらも同じ値にすると良いらしい.このとき,Actual VRM Core VoltageはAutoのままで良い.
以下BIOS(1205)の画像
手順1
手順2
設定を保存して再起動する.このときいつもより時間がかかる.
マイクロコードの変更はHWiNFOから確認できる.変更前はMCUの項目が115だったものが,変更後は104となっている.
マイクロコード変更後,電圧オフセット値を-0.04~-0.12Vの範囲で変えながらCinebenchR23スコアとベンチ実行中のCPUパッケージ電力を測定した.以下がその結果となる.
最終的に157Wまで消費電力を下げつつベンチマークスコアを維持することができた.このときのベンチマーク中のCoreVIDsとVcoreの値(HWiNFO読み)は,それぞれ1.12Vと1.24Vだった(オフセットなしの時は1.25,1.41V)
また,参考としてマイクロコードを変更せずにPL制限,またはActual VRM Core Voltageにマイナスオフセットをかけたときに電力当たりの性能がどう変わるか調べた.下はBIOSデフォルト設定でのCinebenchR23スコアを100パーセントとしたとき,それぞれの条件のスコアのパーセンテージを表したグラフとなる.
Actual VRM Core Voltageをマイナスオフセットした場合,マイクロコード変更時に到達できた150W台まで電力を落とすと,スコアは約72パーセントまで低下した.これに対してPL制限の場合は約96パーセントにとどまった.
今回の方法はマイクロコードを変更するという点で通常の手順ではない.将来的には使えなくなる可能性がある.こういった不安定な手法には頼りたくなかったため,結局自分はPL制限のみで運用することにした.
ただ,13世代までのi5程度なら,PL制限だけでも電力を空冷可能な範囲まで性能をさほど犠牲にせず下げられるが,将来もしコアが増えたらそれも難しくなるかもしれない.
もしそうなったなら,B系より安価なZ系に行ったほうがいいかもしれない(PRIME CSMがかなり安価なのに後で気づいた)
こんにちは、私も似た感じの悩みを持っていたのですが、色々ググったところCPU AC Loadline/CPU DC Loadline を弄るのが主流?になっているようでした。
返信削除Webを参考に値を弄ってみたところ、オフセットで電圧弄ったりするより安定して電力あたりの性能が向上して
PL設定(ThrottleStop使用)と組み合わせて随分使いやすくなりました。ちなみにGigaのB660でもBIOSに設定ありましたので各社あると思います。