熱電対で温度測定する際,測定対象表面に熱伝導グリスを塗布することでどれくらい温度が変わるか検証した.
熱電対のような接触温度センサではセンサと測定対象の接触が重要で,接触面積が広いほど熱伝導が良くなり精度良く測定ができる.
しかし下の写真のような先端を点溶接された熱電対では,先端が丸形状なので測定対象との接触が点接触になり熱伝導があまり良くない.また,センサを固定する際にテープでしっかり密着させたと思っても,次第にセンサが浮いてきて接触が悪くなることもある.
そこで,熱電対と測定対象の隙間を熱伝導グリスで埋めることで熱伝導を改善し,どれくらい測定温度に差が出るかを実験した.
検証方法
マザーボードのVRMヒートシンクにマスキングテープで熱電対を固定し,CinebenchR23を10分間実行したときの温度変化をロガーに記録する.これを熱伝導グリスなしとありで行いその差を比較する.
使用機器
熱電対:A&D AD-1214
熱伝導グリス:親和産業 SMZ-01R
温度ロガー:CUSTOM CT-05SD
測定
熱電対を下のようにマスキングテープでVRMヒートシンクへ固定した(2本のうち1本は参考用)
熱伝導グリスを塗布した場合.赤枠がグリスを塗布した方.押しつぶしたときにグリスが広がってしまい,熱電対の固定が緩くなってしまった.
測定結果
Cinebench実行時のVRMヒートシンクの測定温度は下のようになり,グリスなしの方は約44度で定常,グリスありの場合は49度で定常した.グリスありの方が5度高くなったことから,グリス塗布によりヒートシンクから熱電対への熱伝導が改善したと思われる.
また,グリスなしのグラフはグリスありを下方にオフセットしたものに近く,グリスなしでも測定対象の温度変化は問題なく読み取れる.このため,欲しい結果が温度差(相対値)の場合は,グリスを塗布しなくてもさほど支障ないだろう.
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