2021年4月15日木曜日

Intel Core i5 11600Kのベンチマーク

 Intelの第11世代デスクトップCPUであるRocket Lakeのi5 11600Kのベンチマークを行いました.

 2021年3月末,Intelから第11世代デスクトップCPUであるRocket Lakeがリリースされました.12世代であるAlder Lakeのリリースが2021年第4四半期(予定)と間がないので,11世代はスキップしようと思っていましたが,爆熱やら低性能やらひどい言われようなので自分で確かめることにしました.

 今回はCore i5 11600Kを購入しました.当初はi7を検討していましたが,昨今の時勢のためかCPUもマザーボードも値段が高いことと,自分の用途的に6コア12スレッドで十分と考えスペックを落としました.


結果

1)レビューで言われるような爆熱ではない.

2)8-coreの10700Kと比べた場合,映像系のベンチマークでは,シングルスレッドのスコアが前世代に対して17-18パーセント優位だが,マルチスレッドでコア数の差を覆すほどの差はない.

4)FEM(CalculiX)の実行速度は前世代と変わらない.


Roket Lakeの概要

 Rocket Lakeの概要はリンクに詳しいですが,第10世代のComet Lakeからの大きな変更は以下の通りです.CPUの処理能力に目が行きがちですが,今世代はPCIeやメモリのような足回りの強化が大きな特徴だと思います.

1)アーキテクチャがSky LakeベースからSunny CoveベースのCypress Coveへ変更.IPCはComet Lakeに対して最大19パーセント増加.

2)CPU直結のPCIeがGen4となった.レーン数は16から20に増加した.20レーンのうち16レーンをGPU,4レーンをNVMeのSSDに利用することを想定.

3)CPU-チップセット間通信がDMI3.0x4からDMI3.0x8へ拡張(PCIe3.0x4相当からPCIe3.0x8相当の帯域になった)

4)DDR4-3200MHzにネイティブで対応

5)GPUがXeベースに変更.ただしモバイル版よりもEU数が少なく性能は低い.

6)AVX512命令に対応(どうでもいい)


ベンチマーク環境

 以下は,ベンチマーク時の11600Kと比較対象のi7 10700Kの環境です.動作周波数や電力制限はIntelの仕様値・推奨値とします.


Core i5 11600K(6-core 12thread, TDP125W)

マザーボード:ASUS Z590-f gaming WIFI

BIOS:0704

CPUクーラー:Noctua NH-D15

メモリ:DDR4 2400MHz, 32GB

単コア最大周波数:4.9GHz(TB2.0)

全コア最大周波数:4.6GHz

PL1:125W

PL2:182W(8-coreと同じ250Wとするレビューもある)

Tau:56sec

その他の電源設定:AUTO

AVX512:無効


Core i7 10700K(8-core 16thread, TDP125W)

マザーボード:ASUS Z490-f gaming

BIOS:1003

CPUクーラー:サイズ MUGEN5

メモリ:DDR4 2400MHz, 32GB

単コア最大周波数:5.0GHz(TB2.0)

2コア最大周波数:5.1GHz(TB3.0)

全コア最大周波数:4.7GHz

PL1:125W

PL2:229W

Tau:56sec

その他の電源設定:AUTO


 Z590ではPL1とPL2の値が設定Autoのとき4095Wとなっていました.これでは爆熱となるのは当然です.なお,11600Kの定格におけるPL2は諸説あり,8-core製品と同じ250Wとするところもあります.リンクにはいくつかの製品のPL2が記載されていますが,6-coreのTDP125Wの値は記載されておらず,IntelのCPU仕様書にすらPL2の具体的な値の記載はありませんでした.というわけで今回は前世代の10600KのPL2を設定しています.また,高速のメモリが足りなかったのでメモリ周波数は2400MHzです


ベンチマーク結果

 Cinebenchのスコアは以下のようになりました.比較が前世代とはいえ8-coreのCPUなのでマルチスレッドの11600Kのスコアは10700Kに負けています.ただ,コア数の差が33パーセントに対してスコアの差は8-14パーセントにとどまり,IPCの改善が反映されているようです.
※R23から10分間実行した後計測するようにななりましたが,今回はそれを省略してR20と同条件で計測しています.



 その他のベンチマークとして,Cinebenchと同系統のblender benchmark,handbrakeによる動画エンコード速度,FreeCADに搭載されているCalculixによるFEMの実行速度を測定しました.なお,blenderbenchmarkはclassroomのシーン,handbrakeは10分の1080p動画をFast 1080p30プリセット,FreeCADは並列数8(それ以上にしても効果が薄いため)の設定としています.

 blenderとhandbrakeの処理速度は,Cinebenchと同様に11600Kよりも10700Kの方が速くなりました.ただ,その差はCinebenchの8-14パーセントよりも大きく17-18パーセントとなりました.これに対してFEMの結果は両者ほとんど差がありませんでした.FEM(少なくともCalculiX)ではIPCの改善の恩恵を受けやすいのでしょうか.


 最後は,blender benchmark実行中の11600Kの動作周波数,CPU温度,CPU消費電力の時間履歴です.

 最初の56秒はターボブーストが有効で動作周波数と消費電力が高く,その後はPL1である125Wで動作しています.今回はブースト時の全コア動作周波数を4.6GHzにしていますが,PL2である182Wには届かず余裕がありました.また,PL1での動作周波数は4.4GHzとなりました.



 CPUパッケージ温度は以下のように推移しました.定格動作であれば,11600KとNH-D15の組み合わせでは最高でも65C(室内温度23C)に収まりました.


まとめ

1)ハイエンド空冷クーラーと6コアの組み合わせゆえか,定格動作であればレビューで言われるような爆熱ではない.

2)映像系のベンチマークでは,シングルスレッドのスコアが前世代に対して17-18パーセント優位だが,マルチスレッドでコア数の差を覆すほどの差はない.

4)FEM(CalculiX)の実行速度は前世代と変わらない.









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