2023年8月27日日曜日

CPUのIHSとCPUクーラーの接触面温度を測定する

CPUクーラーを改造し,CPUのIHSとCPUクーラーの接触面の温度を測定できるようにした.


1. CPUクーラーの改造

 CPUとクーラーの接触面の温度を測るため,空冷CPUクーラーのベースプレート中央に穴を開けて,そこに熱電対を通すことにした.

 ここで問題となるのがヒートパイプで,パイプ本数が5本だとベースプレート中央に位置するので穴をあけることができない.また,ダイレクトタッチタイプのヒートパイプだと,パイプ間の隙間がほとんどないので,ダイレクトタッチのクーラーは除外される.これらを回避できてかつ安価なクーラーとして,虎徹MARK3を選んだ.


以下が2mmの穴をあけた状態.


熱電対を通すことができる.


2. 温度測定

 CinebenchR23を10分間実行したときのCPUとクーラーの接触面温度を測定した.

条件は以下の通り.

CPUクーラー:虎徹 MARK3 (サイズ)

CPUグリス:SMZ-01R(親和産業)

CPU:Intel Core i5 12600K

MB:TUF Gaming Z690-PLUS D4(ASUS)

熱電対:AD-1214(AD)

温度ロガー:CT095SD(CUSTOM)

室温:27C

熱電対をクーラーに挿入するときはクーラー裏側中央のねじを外してそこを通す.



 測定結果をHWiNFOのCPU Package Temperatureと比較した.室温27Cにおいて,HWiNFOのPakcage Temp.は75Cで,接触面温度は50Cでそれぞれ定常し,25Cの温度差が生じた.


 ただ,この結果が妥当かどうかはあやしい.CPUのIHS厚さtを2.7mm,クーラーとの接触面面積Aを28.3x38.3mm2,銅の熱伝導率kを398[W/(m・K)]とすると,温度差dTが25Cだと伝熱量Q[W]=k*A*dT/tよりQ=3994Wとなってしまう.ベンチ中のCPU Package Powerはおよそ120Wだったので33倍もの差がある.考えられる理由として,熱電対と接触面の伝熱が不十分だったことがあげられるが,熱電対を引き抜いたとき先端にCPUグリスがべっとり付着していたのでこれ以上改善は無理だろう.

 


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