空冷のCPUクーラーに超強力なファンを取り付けたときどれくらい冷却能力が上がるか実験しました.
・概要
Scytheの空冷CPUクーラー無限5に定格60W,7500rpmの大出力ファンを取り付け,付属ファンと冷却能力を比較しました.
それぞれのファンを12V一定で動作させ,CPUに175Wの負荷をかけたときのCPUパッケージ温度を測定したところ,付属ファンでは最高97Cまで温度が上がったのに対して60Wの大出力ファンでは80C台後半に留まりました.
1. CPUクーラーの仕様
Scytheの無限5 Rev.BはΦ6ヒートパイプx6のサイドフロークーラーで,1200rpmの12cmファンを1基搭載します.対応CPUソケットにLGA2011があるのでTDP165Wまでは対応できるようです.
2. 60W大出力ファンの仕様
仮想資産マイニング用ASICマシンAntMinerに搭載されることを想定されたメーカー不明のファンで,定格出力は60Wで7500rpmです.以下はAmazonの製品説明です.
※付属ファンの消費電力は仕様値ではなく測定値
3. 測定環境と実験方法
・環境
CPU:Core i7 10700K(8-core 16thread, TDP125W)
マザーボード:ASUS Z490-f gaming
CPUクーラー:Scythe 無限5 rev.B
・実験方法
CPUクーラーファンの電源はマザーボードではなく外部の電源装置からとり,電圧は12Vに固定します.このためファンの風量はCPU負荷にかかわらず一定となります.
CPUの長期電力制限PL1を175Wに変更し,CineBench R23を10分間実行したときのパッケージ温度をHWInfoにより測定します.
4. 結果
まず,ファンの回転数を測定したところ,定格12Vにおいて付属ファンは仕様通り1200rpmでしたが,60Wファンは6850rpmと仕様の7500rpmに対して10パーセント低い値となっていました.メーカー不明の製品なので仕方がないでしょう.以降の結果は,7500rpmではなく6850rpmの場合のものとなります.
以下はCinebench中のCPU Package温度の時間履歴です.時折温度が急落していますが,Cinebenchが終了するとき一時的に無負荷となるためです.
図より,付属ファンは90Cを上回る場面が多いのに対して,60Wファンでは80C台を維持していることがわかります.
その結果,やはり60Wの方が温度は低くなり,最大・中央値ともに7-8C程度の差が出ました.
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