安定化電源装置には大きく分けてシリーズ方式とスイッチング方式がある.両者の違いはニプロンのページが詳しいが,簡単に言うと出力ノイズはシリーズ方式の方が小さく,価格は同容量であればスイッチング方式の方が安価である傾向がある.今回,HANMARTEK社の安定化電源HM310を分解して内部を調査し,部品の交換と出力精度の検証を行った.
まとめ
・筐体は金属を使っており安っぽくはない.ただ表示部は傷がつきやすい.
・内部部品は中国台湾メーカーのものばかりなので電源用コンデンサなどにこだわる人は交換した方が良い.
・出力の調整精度は趣味で使う程度なら問題ない.
1.HANMARTEK
HANMARTEKはその名前から推察できるように中国深センの企業である.HM310をAmazonで検索すると内部や外観が似た製品が散見され,中国の製品の例にもれずHM310もどこかのOEMに自社のラベルを張っただけの製品だと思われる.
2.HM310の仕様
・入力電源:AC100V
・定格出力:DC30V,10A
・表示部:電圧,電流,電力(それぞれ4桁)
・スイッチ類:主電源スイッチ,出力ON/OFFスイッチ,電圧調節つまみ,電流上限つまみ
・寸法,重量:幅80mm×高150mm×奥行230mm,1.57kg(本体のみ)
・付属品:電源コード,出力側コード(バナナ×ワニ口),取扱説明書
筐体は表示部に隣接する面がプラスチック,そのほかは鋼板でできている.表示部はアクリルで傷がつきやすい.
3.内部構造
筐体のカバーは側面のねじを外すだけで簡単に取り外すことができる.中央の大きな黄色の部品は高周波トランスで,主電源を含む一次側と出力を含む二次側を絶縁している.このトランスの左側にMOSFETトランジスタ2つとショットキーバリアダイオード素子が配置されている.電源用コンデンサは105C品が使われている.
見た限りMOSFET,コンデンサなどの主要部品は中国・台湾メーカーのものが使われており,日本や欧米の有名どころの部品は見当たらなかった.このあたりでコストダウンしているのだろうか.
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