2024年5月5日日曜日

Z790とi5 13600Kの環境でIntel Baseline Profileを検証する

 Intel第13・14世代CPUの動作不安定を受け,マザーボードメーカから修正BIOSの公開が進められている.

 修正BIOSでは,電力周りの設定にIntelの推奨設定を適用するIntel Baseline Profileを選択できるようになった.このプロファイルでは電力などの制限がより安全側に設定されているため,消費電力を抑制することができる.ただし,CPUの周波数を上げにくなるためCPUの性能は低下する.


 自分が所有しているASUS PRIME Z790にもIBP対応のBIOSが公開されたので,i5 13600Kでどのくらい性能が低下するかを検証した.


検証環境


新BIOSでのIntelBaselineProfile(IBP)適用

1) IBP対応のBIOSに更新すると,AdvancedのAiTweakerに”Intel Baseline Profile”の項目が追加されている.


これを選択するとメッセージが出るのでYesを選択する.


2) 保存・再起動してもう一度BIOS画面に入る.IBP適用により以下の項目が変更されていた.


3) AiTweakerのInternal CPU Power Managementで,電流や電力制限がIntel推奨の値であることを確認する.違う場合は修正する.


IBP適用後の性能

 IBP適用後のCPU性能を調べるため,IBP適用前のデフォルト(Default)と無制限(Remove All Limits)のCinebench R23スコアと比較した.


 シングルはすべての条件でほぼ違いはなかった.マルチはそれなりに差があり,無制限に対してIBP適用後のスコアは8.6パーセント低下した.
※Twitterでは6パーセントと書いているが間違い

 また,このときのコアクロックは以下のようになった.無制限では仕様上の最高周波数5.1GHzと3.9GHzとなったが,IBP適用後は4.7GHz,3.7GHzに落ちている.

 以上の結果から,IBP適用によりCPUの消費電力は下りそうなものだが,なぜかIBP適用後が最も高くなった.ベンチマーク中におけるCPUパッケージ電力のIBP適用後とDefaultとの差は36Wもあり,電力を抑えるためのBIOSにもかかわらず電力が大きくなるのは本末転倒である.

※そもそもDefaultが低すぎるのかもしれない.ひとつ前のBIOS(1645)では160Wだった.


 原因はVcoreで,IBP適用後の値が突出して高い.この理由として,IA CEPのようなCPUの低電圧動作を抑制する設定(Vcore電圧が上がる)もIBP適用により有効になったこと,SVID BehaviorがIntel's Fail Safeに変更されたことが挙げられるが,よくわからない.


まとめ

今回の環境では,
 ・IBP適用によりCPU性能は,マルチでは8.6パーセント低下する.シングルは低下しない.
 ・IBP適用後の消費電力はDefaultに比べて36W高くなった.IA CEPかSVID Behaviorの設定のせい?あるいはDefaultが低すぎる?

ほかの人の検証ではIBP適用により消費電力が落ちているので,自分の環境がおかしいのかもしれない.




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